ファンタジーとミステリー好きにオススメ!阿部智里氏の八咫烏シリーズ




著者の阿部智里氏は、松本清張賞を史上最年少20歳の若さで受賞した方です。

受賞作品『烏に単(ひとえ)は似合わない』を初め、これまで八咫烏シリーズとして『烏は主を選ばない』、『黄金(きん)の烏』、『空棺(くうかん)の烏』、『玉依姫(たまよりひめ)』の計5作を出版されています。

松本清張賞作品ということで1作目の烏に単衣は似合わないを読みましたが、僕の好きなファンタジー要素もありつつミステリーとしても面白く、本の世界にぐいぐい引き込まれていきます。

これから読まれる方は、シリーズ物なので1作目の『烏に単衣は似合わない』から読むのがオススメです。

僕は特に4作目の『空棺の烏』が大好きです。話の設定がハリーポッターに近いからでしょうか。

では、それぞれの話の概要をご紹介して行きます。

〜烏に単は似合わない〜
話は八咫烏達が住む山内です。登場する人物は皆八咫烏ですが、八咫烏といっても皆人間です。人間との違いは烏に変身できる、卵から生まれるくらいです。ただ、貴族の八咫烏は一生烏に変身しない烏も存在します。
山内は4領に分けられそれぞれを治める東家、南家、西家、北家の4家の姫から若宮(八咫烏達の長、真の金烏(きんう))の嫁を決めます。
姫達は桜花宮と呼ばれる住居に住み、そこでの生活を通して若宮に選んでもらうのです。
女だけの生活ということで、大奥のような女の争いも多少はありますが、あくまでミステリーとして楽しめる内容でした。

〜烏は主を選ばない〜
1作目の『烏に単は似合わない』は姫達の目線で描かれましたが、この作品では若宮目線で描かれた作品です。
若宮とその部下、雪哉によるお話です。
あの時の裏側ではこのようなことになっていたのか、と1作目を読んだからこそ楽しめる作品になっています。
なのでこちらを読む時は『烏に単は似合わない』を読んでください。

〜黄金の烏〜
これまで平和であった山内で事件がおこります。八咫烏達が麻薬なような薬でおかしくなる烏達が相次いで出現します。その薬の出所を探っていた若宮と雪哉は、一つの村で烏を食べる大猿と出会いました。
村人全てが殺された中、唯一生き残った少女小梅。大猿を追い求めて行くに連れて分かる少女の正体。
これまでの2作品を元に新たなミステリーが始まりました。

〜空棺の烏〜
山内を守る山内衆という護衛兵のようなものになるため、多くの若い烏達が学ぶ場所、勁草院でのお話です。2作目、3作目に登場した「雪哉」が出てくるほか、1作目に登場した西家の姫の弟で若宮大好きな「明溜」、地方の武家出身で辛い過去を持つ「茂丸」、貧民出身で、妹思いで貴族が大嫌いな「千早」を中心に話が進んで行きます。意地悪な先輩(ハリポタで言えばマルフォイの先輩版)、先生(スネイプ)を相手にどのように雪哉達が相対していくのかが見所です。
僕はこの作品が一番好きなので是非オススメです。

〜玉依姫 〜
これまでは烏達が住む世界、山内での話でしたが、この作品では人間の世界でのお話になります。
母親の故郷へ戻ることにした女子校生 志帆でしたが、なんと山神を育てる母になれと大猿と烏に頼まれます。敵対していた烏と猿が一緒にいるのに衝撃でした。
山神を育てる母親志帆と山神の親子愛について書かれて行る作品です。

次回の作品(2017年夏頃刊行)で八咫烏シリーズ第1部が完結になります。それまでにこれまでの作品に目を通して完結話の出版を楽しみに待ちましょう。

ちなみに第1部って表現からまだまだ続きそうなのはうれしいですね。