【八咫烏シリーズ第6作】「弥栄(いやさか)の烏」でついに因縁の猿との戦いに決着!

書評




弥栄(いやさか)の烏

第3作「烏は主を選ばない」から始まった猿との戦いが、「弥栄(いやさか)の烏」でついに決着です。

また、本作で八咫烏シリーズ最終巻です。

ただ、第1部が完結になるだけで、次回作から第2部が始まります。

web本の雑誌のインタビュー記事で、第2部について語られています。

『玉依姫』を読んで頂いたら分かると思うんですが、結構山内という世界そのものの問題が出て来ていますよね。それは来年の第1部の最後で決着するんです。でもそれだけだと、1巻2巻で語っていた、貴族間の抗争がただの前座というか、番外編みたいな感じになってしまう。それが第2部にいくと1巻2巻も番外ではなく本編の一部だったということが明確になると思います。(引用:web本の作家の読書道 第176回:阿部智里さん)

この言葉に、第2部への期待が高まりますね。

▽インタビューの詳詳細はこいちら▽
web本の作家の読書道 第176回:阿部智里さん

第5作の「玉依姫(たまよりひめ)」は人間達からみた視点で描かれていましたが、今回は八咫烏側の視点で描かれています。

「弥栄(いやさか)の烏」の見所

弥栄の烏の見所は、参謀役の雪哉が、猿とどのような作戦で戦うかと話の中で登場人物達の心情がこれまでの作品よりも多く描かれています。特に中盤以降の雪哉の心情、振る舞いは読んでいて辛くなるほどです。

これまで以上に冷徹で任務を遂行する雪哉の姿は、強烈な印象を受けました。

第4作「空棺の烏」に出てきた、茂丸、明留、千早など雪哉の友人達や雪哉に負かされた翠寛達も登場します。

奈津彦と山神はなぜ記憶を失ったのか、猿はなぜ烏達を恨んでいるのかなどの謎が解明されます。

そうなった経緯は、烏、猿それぞれの思惑、正義があり、人の世界に通じるものを感じました。

余談

本書内に出てくる下鴨神社や上賀茂信者、葵祭は実在します。
むしろ有名なので知っているひとの方が多いのかな。

動画見たら、八咫烏の世界を見ているみたいです。
▽動画はこちら▽
葵祭・加茂街道~上賀茂神社(2017515日 京都市北区)

聖地巡礼じゃないですが、行ってみたいなって思っちゃいます。

「弥栄(いやさか)の烏」目次

・用語解説
・人物紹介
第一章 開門
第二章 断罪
第三章 治癒
第四章 迷走
第五章 完遂
第終章 こぼれ種